-国債への投資と比較する-

それでは、より実践的な計算へと移っていきましょう。ここでは株式を擬似債券と考え、過去の一株当たり利益(EPS)成長率と株式の益利回りから算出される利率を、国債へ投資した場合の利率と比較して株式投資の妥当性を考えます。

ここにE社という企業があるとします。4年前のEPSが156.6円、直近のEPSが195.26円、現在の株価が1001円でした。それに対する5年国債の利回りは0.23%です。

まず、過去のEPSから平均EPS成長率を算出することから始めましょう。x年前のEPSと直近のEPSの値が分かっている場合、その株式の平均EPS成長率は、直近のEPSの値をx年前のEPSで割り、その値の1/x乗根を取り、それから1を引くことによって計算することができます。関数電卓やエクセルなどの表計算ソフトを用いれば容易に計算できるでしょ う。

エクセルなどの表計算ソフトでは「=(直近のEPS/x年前のEPS)^(1/x)-1」という式を数式バーに書き込み、リターンを押すことで計算できます。その結果、例えば0.124と表示されるとします。この場合、比率を百分率で表すと、平均EPS成長率は12.4%ということになります。

それでは実際にE社の計算をやってみましょう。4年前のEPSが156.6円、直近のEPSが195.26円でしたので、エクセルにおいて「=(195.26/156.6)^(1/4)-1」という計算をすると、0.0567となりました。つまりE社の平均EPS成長率は5.67%です。重要な概念としてEPSの成長率は擬似債券のクーポンの成長率と考えることができます。

さて、今度は投資に対する直利を計算してみましょう。今期のEPSを現在の株価で割った益利回りは投資に対する直利に相当します。E社の場合、今期のEPSは195.26円、現在の株価が1001円ですので、195.26÷1001=0.195となり、計算された直利は19.5%となりました。

E社の過去のEPS成長率は年平均5.67%ですので、E社は初年度の直利が19.51%、その後毎年5.67%ずつクーポンが成長していく擬似債券と考えることが出来ます。利回り0.23%に固定されている5年国債と比較すると、この株式投資は明らかに国債より良いと言えるでしょう。もし計算した結果が国債の利回りより下回っている場合、その株式への投資は控えた方が良いと考えられます。

ここで計算した比率からその株式投資の期待収益率の目安も計算できます。益利回りとEPS成長率を合計した数字は、期待収益率のおおよその目安と考えることが出来ます。益利回り19.51%とEPS成長率5.67%を合計すると、19.51+5.67=25.18、つまりE社の期待成長率のおおよその目安は25.18%となりました。この数字はあくまでも目安ですが、直利とEPSの成長率から簡単に期待成長率を計算することができるので便利な指標です。