-BPSから将来の株価とその期待収益率を計算する-

前節EPSの場合と同様にBPSからも将来の株価とその期待収益率を計算することができます。C社を検討してみましょう。C社は、平均ROEが 12.81%、平均PERが9、平均配当性向が17.50%、直近のBPSが511.19円、現在の株価は510円です。それでは計算してみましょう。

まず株主資本の予想成長率から計算していきます。株主資本の予想成長率は、利益のうち配当として支払われる部分をのぞいた内部保留して再投資される部分から求めることが出来ます。エクセルなどの表計算ソフトでは「予想成長率=ROE*(1-平均配当性向)」と計算されます。C社の平均ROEは12.81%、平均配当性向は17.50%ですので「=12.81*(1-0.1750)」と打ち込むと10.57となりました。つまり株主資本の予想成長率は10.57%です。

次に株主資本の予想成長率と直近の一株あたりの株主資本(BPS)からx年後の予想BPSを計算しましょう。x年後のBPSを計算する場合、BPSの値を成長率の分だけx年間成長させます。x年後の予想BPSは成長率に1を加えたものをx乗して直近のBPSを掛ける、つまり表計算などのソフトで「=(直近のBPS*((1+BPS成長率)^x)」という計算をするわけです。C社は株主資本の予想成長率10.57%と直近のBPS511.19円でしたので、「=(511.19*((1+10.57)^3)」とすると739.91と計算されました。したがってC社の3年後の予想BPSは739.91円です。

株価分析指標でも紹介しましたがBPSとROEの値からEPSを算出することが出来ます。EPSを算出する計算式は「BPS×ROE=EPS」です。C社の場合、予想BPSは739.91円、ROEは12.81%でしたので、「=739.9*0.1281」という計算をすると94.78となりました。C社の3年後の予想EPSは94.78円です。

予想EPSの値が求まったのであれば、以降の計算は前節EPSから将来の株価とその期待収益率を計算すると同様です。それでは計算された予想EPSからx年後の予想株価を算出しましょう。「EPS×PER=株価」ですので、この予想EPS94.78円にC社の過去の平均PER9を掛けると「=94.78*9」で835となり、C社における3年後の予想株価は835円と算出されました。

最後に、C社に投資した場合の期待収益率を計算しましょう。期待収益率は、現在の株価をx年前の予想株価で割り、その値の1/x乗根を取り、それから1を引くことによって計算することができます。エクセルなどの表計算ソフトでは「=(x年後の予想株価/現在の株価)^(1/x)-1」という式を数式バーに書き込みリターンを押してください。C社の場合、現在の株価が510円、3年後の予想株価が835円でしたので、エクセルで「=(835/510)^(1/3)-1」と打ち込みリターンを押すと0.1870と計算されました。つまり今後3年間の期待収益率は18.70%です。

C社についてまとめると、現在のBPSが511.19円、3年後の予想BPSは739.91円。現在の株価が510円、3年後の予想株価は835円となりました。C社への投資をした場合、3年後の期待収益率は18.70%となります。

前節EPSから将来の株価とその期待収益率を計算すると同様に、BPSからも将来の株価が予想できました。EPSから計算された予想株価と若干違いが生じることがありますが、EPSからの予想株価と併せて判断してください。

前節でも申し上げましたが、これらの予想株価の計算が出来るのは消費者独占型企業だけです。理論的には何年後の予想株価でも計算できるのですが、経済情勢の変化や技術革新により、企業を取り巻く状況はこれまでに無い早さで刻々と変化しています。したがって予想株価を計算する際は、最大でも10年としましょう。